米国の実験で分かった貯蓄を2.37倍にする金融心理学とは

MONEY

すごく面白い、かつ数字的にも感覚的にも納得できるデータを見つけました。

それは、心理学を使って貯蓄をしやすくするという実験結果です。金融の勉強はハードルが高いにも関わらず、お金の問題は全ての人にとって重要なことです。

専門的な知識のある人間だけが得をしています。しかし、もしもっと簡単な知識で貯蓄を無理せず増やするとしたらどうでしょうか?そんな夢のような方法があるとのことで、調べました。

今回翻訳した記事はこちらです(https://www.psychologytoday.com/us/blog/mind-over-money/201710/getting-sentimental-could-increase-your-savings)。

『Getting Sentimental Could Increase Your Savings(感情的になることは貯蓄を増やす)』というなんとも衝撃的なタイトル。

スポンサーリンク

クレイトン大学の実験結果

In August 2017, my team at Creighton University tested whether positive memories tied to sentimental items could be harnessed to improve financial decision-making. 

(2017年8月、Creighton Universityの私のチームは、感傷的なアイテムと結び付けられた肯定的な記憶が、財務上の意思決定を改善できるかどうかをテストしました。)

ーが感情を呼び起こす

Research has shown that a memory can be so vivid it’s like experiencing the event again (Horner, et al., 2015).

As such, remembering an event, a situation, an object, a personal item, or a person can evoke a shiver of excitement, a pounding heart, and intense emotions.

(そのため、イベント、状況、出来事、個人的な物、人を思い出すと、興奮の震え、ドキドキする心、激しい感情を呼び起こすことができます。)

There is also evidence to suggest that financial beliefs and behaviors can be impacted by emotionally charged experiences (Klontz & Britt, 2012; Klontz & Klontz, 2009) and by the elicitation of specific emotions (Ham, Lerner, & Keltner, 2007).

These findings led us to explore the power that pleasant emotions related to past experiences might have on influencing positive financial behaviors.

(これらの調査結果は、過去の経験に関連する楽しい感情が肯定的な金融行動に影響を与える可能性がある力を探ることにつながりました。)

2つのグループの実験内容

When they arrived at the study location, the control group received a standard financial education presentation. This presentation focused on educating participants on the importance of saving, the power of compound interest, and various savings strategies, with time for questions and answers.

(彼らが研究場所に到着すると、コントロールグループは標準的な金融教育プレゼンテーションを受けました。このプレゼンテーションでは、質問の回答の時間とともに、節約の重要性、複利の力、さまざまな節約戦略について参加者を教育することに焦点を当てました。)

In contrast, the experimental group did not receive an education on savings. Instead, they experienced a presentation that focused on immersive, emotion-based exercises designed to evoke positive memories and feelings around their nostalgic items.

(対照的に、実験グループは貯蓄に関する教育を受けていませんでした。その代わりに、彼らはノスタルジックなアイテムの前向きな記憶と感情を呼び起こすように設計された没入型の感情ベースのエクササイズに焦点を当てたプレゼンテーションを経験しました。)

With these positive emotions evoked, the presentation shifted to naming these emotions and the underlying values associated with their nostalgic items and how these values and emotions relate to future savings goals.

これらのポジティブな感情が喚起されると、プレゼンテーションは、これらの感情とそのノスタルジックなアイテムに関連付けられた根底にある価値と、これらの価値と感情が将来の貯蓄目標にどのように関連するかを示すものに変わりました。

実験でわかった貯蓄の増加率

Both the control and experimental groups significantly increased their rates of savings, as a percentage of gross income. However, there was a significant difference with regard to the magnitude of these increases. While the control group increased their savings by 22 percent, the experimental group increased their savings by a whopping 67 percent — an increase three times greater. If maintained over the course of the year, this change could represent an average of $10,020 in annual savings for the participants in the experimental group, compared to their average of $5,838 in annual savings prior to the study.

  • コントロールグループと実験グループの両方で、貯蓄率(総収入に対する割合)が大幅に増加しました。
  • コントロールグループでは貯蓄が22%増加した
  • 実験グループでは貯蓄がなんと67%増加しました。

実験グループの、実験前の年間貯蓄額は平均5,838ドルであるのに対し、参加者の平均貯蓄額が平均10,020ドル出会った。

5エリアで全て、増加するという結果でした。特にアトランタでは137%(通常の2.37倍)という伸び率を示しました。

  • Boston: 75 percent increase(ボストン:75%増加)
  • Austin: 40 percent increase(オースティン:40%増加)
  • Seattle: 47 percent increase(シアトル:47%増加)
  • Atlanta: 137 percent increase(アトランタ:137%増加)
  • Dallas: 115 percent increase(ダラス:115%増加)

どんな物が感情を呼び起こすか

では、どんな物が感情的な気持ちを思い起こさせる物になるのか?事例としては、

  • 恋人や家族と結びついている物
  • 子供時代のことと結び付くもの
  • 海外での休暇の素晴らしい経験を思い出させる物

などが挙げられます。元記事には、「祖父のマネークリップ」の写真が掲載されていました。上記の中でいうと、「家族とむすびつくもの」ですね。

おじいさんのマネークリップ

なぜ貯蓄額が上がったのか

今回の実験に対して、クロンツ(Dr.Brad Klontz)博士は、ポジティブな感情と結びついた物

を使うことで、貯蓄に対してポジティブな「意味づけ」ができたからだとしています。

さらに博士は、より具体的なアドバイスも与えてくれています。

Don’t just have a “savings account.” Name it. Have a “2018 European Family Vacation Account.”

(ただの「貯金口座」という名前ではなく「2018家族ヨーロッパ旅行口座」と名前をつける。)

Now create a visual motivator. For example, cut out a picture from a magazine depicting your goal and tape it to your mirror. Better yet, put a picture of your goal as your screensaver or smartphone wallpaper, where you can see it several times a day.

自分のゴールや目標になるものの姿雑誌の切り抜きなどを、自分の鏡貼る。スマートフォンの壁紙など、1日に何度も見る場所にその画像を載せるのもよい。

自分自身の中の価値のある目標と、貯蓄がイコールになるように思考に染みこませることが重要なのではないでしょうか。

先の例でいうと、祖父のマネークリップを見ると、穏やかな気持ちになったり、豊かな気持ちになれることで、無駄遣いの衝動を抑える、、、といったような意味だとおもいます。

ポジティブな思い出であることが大事

この実験結果から分かるのは、誰もが貯蓄が大事であることは分かっている。しかし、無駄遣いをしてしまう衝動や一瞬の欲望に耐えられない。それを乗り越えるためには、金融の知識よりも、感情をコントロールすることの方が有効である、ということだと思います。

無駄な消費は精神が原因にある

私の経験上、お金のトラブルを起こす人は大抵精神が病んでいるか、何か心に大きな傷を負っていることがとても多いです。

ついついコンビニで無駄遣いをしてしまったり、間食が多かったりする人はストレスが過剰だったりします。つまり、精神の健康が、財布の健康と密接に繋がっているということです。

今はどんなに辛くても、誰もが子供時代には楽しい思い出や、家族から受けた愛情の思い出があると思います。しかし、せわしない現実の日々を過ごしているとそれは忘れがちになります。

今回ご紹介した実験は、そんな忙しい現代人が、忘れてしまっている心の豊かさをおもいださせてくれるような実験だったのかもしれませんね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました